ヒトのタンパク質を構成するアミノ酸は、原則としてL型です。

ただし、グリシンは側鎖が水素原子(−H)で、α炭素に同じ水素原子が2つ結合しているため不斉炭素を持ちません。そのため、グリシンにはL型・D型の区別がありません。

国家試験では、

「人のたんぱく質を構成するアミノ酸は、主にD型である」

という選択肢が出たら誤りと判断します。

この記事では、L型・D型アミノ酸の違いを整理したうえで、第34回管理栄養士国家試験に出題されたBCAA、チロシン、グルコースとガラクトース、グリコーゲンについても解説します。

L型アミノ酸とD型アミノ酸の違い

多くのα-アミノ酸では、α炭素に

  • アミノ基
  • カルボキシル基
  • 水素原子
  • 側鎖

という4種類の異なる原子団が結合しています。

このようなα炭素は不斉炭素となり、互いに鏡像の関係にあるL型とD型が存在します。

タンパク質を構成するアミノ酸は原則L型

ヒトのタンパク質合成に使われるアミノ酸は、グリシンを除いて原則L型です。

したがって国試では、

タンパク質を構成するアミノ酸 → L型

と覚えておきましょう。

アミノ酸 L型・D型
タンパク質を構成する一般的なアミノ酸 原則L型
グリシン 不斉炭素を持たないためL/Dの区別なし
遊離D-アミノ酸 生体内にも一部存在する

D型アミノ酸は人体に存在しない?

D型アミノ酸が人体にまったく存在しないわけではありません。

例えばD-セリンなどの遊離D-アミノ酸が生体内に存在し、生理的な機能を持つことが知られています。

ただし、国家試験の基本としては、

「タンパク質を構成するアミノ酸は原則L型」

をまず押さえておけば十分です。

第34回 管理栄養士国家試験で確認

第34回管理栄養士国家試験(2020年実施)午前 問題18

アミノ酸と糖質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

  1. 人のたんぱく質を構成するアミノ酸は、主にD型である。
  2. アルギニンは、分枝アミノ酸である。
  3. チロシンは、側鎖に水酸基をもつ。
  4. グルコースの分子量は、ガラクトースの分子量と異なる。
  5. グリコーゲンは、β-1,4グリコシド結合をもつ。

正答

3.チロシンは、側鎖に水酸基をもつ。

が正しい記述です。

それぞれ確認していきましょう。

1.人のたんぱく質を構成するアミノ酸は、主にD型である

誤りです。

ヒトのタンパク質を構成するアミノ酸は、グリシンを除いて原則L型です。

グリシンは不斉炭素を持たないため、L型・D型には分類されません。

したがって、

タンパク質を構成するアミノ酸=原則L型

と覚えましょう。

2.アルギニンは分枝アミノ酸である

誤りです。

分枝鎖アミノ酸(BCAA:branched-chain amino acids)は、

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン

の3種類です。

いずれも分枝した脂肪族側鎖を持つ必須アミノ酸です。

一方、アルギニンは側鎖にグアニジノ基を持つ塩基性アミノ酸であり、BCAAではありません。

国試では、

BCAA=バリン・ロイシン・イソロイシン

の3種類をセットで覚えておきましょう。

3.チロシンは側鎖に水酸基をもつ

正しい記述です。

チロシンの側鎖には**フェノール性水酸基(−OH)**があります。

水酸基を持つ代表的なアミノ酸は、

  • セリン
  • スレオニン
  • チロシン

の3種類です。

このうちセリンとスレオニンはアルコール性水酸基、チロシンはフェノール性水酸基を持ちます。

水酸基を持つアミノ酸については、「水酸基を持つアミノ酸は?3種類と特徴を一覧で解説【国試対策】」で詳しく解説しています。

水酸基を持つアミノ酸は?3種類と特徴を一覧で解説【国試対策】タンパク質を構成する20種類の標準アミノ酸のうち、側鎖に水酸基(-OH)をもつのは、セリン、スレオニン、チロシンの3種類です。 ...

4.グルコースの分子量はガラクトースと異なる

誤りです。

グルコースとガラクトースの分子式は、どちらも

C₆H₁₂O₆

です。

したがって、分子量も同じです。

両者は立体構造が異なり、4位の炭素(C4)に結合するOH基の配置だけが異なるエピマーの関係にあります。

つまり、

グルコースとガラクトース → 分子式・分子量は同じ、立体構造が異なる

と整理しておきましょう。

5.グリコーゲンはβ-1,4グリコシド結合をもつ

誤りです。

グリコーゲンはグルコースが多数結合した多糖で、

  • 直鎖部分:α-1,4グリコシド結合
  • 分岐部分:α-1,6グリコシド結合

を持ちます。

したがって、β-1,4グリコシド結合ではありません。

β-1,4グリコシド結合を持つ代表的な多糖にはセルロースがあります。

グリコシド結合の種類については、「β-1,2グリコシド結合をもつのはどれか」でも、イヌリン、グリコーゲン、ヘパリンなどを比較して解説しています。

β-2,1グリコシド結合をもつのはどれか?|イヌリンと代表的な糖質の結合を解説【国試対策】β-2,1グリコシド結合を持つ代表的な分子は、イヌリンです。 イヌリンはフルクトースを主成分とする多糖で、フルクトース残基が主にβ...

国試で覚えるポイント

今回の問題では、次の5点を押さえておきましょう。

  • タンパク質を構成するアミノ酸は原則L型
  • グリシンにはL型・D型の区別がない
  • BCAA=バリン・ロイシン・イソロイシン
  • 水酸基を持つ代表的アミノ酸=セリン・スレオニン・チロシン
  • グリコーゲン=α-1,4結合+α-1,6結合

さらに、

グルコースとガラクトースは同じ分子式・分子量を持つC4エピマー

であることも確認しておきましょう。

確認問題

次のうち正しいものはどれでしょうか。

  1. ヒトのタンパク質を構成するアミノ酸は主にD型である。
  2. グリシンにはL型とD型が存在する。
  3. ロイシンは分枝鎖アミノ酸である。
  4. チロシンは側鎖に水酸基を持たない。
  5. グリコーゲンの主鎖はβ-1,4結合である。

正答:3

ロイシンは、バリン・イソロイシンとともにBCAAを構成します。

まとめ

ヒトのタンパク質を構成するアミノ酸は、グリシンを除いて原則L型です。

グリシンは不斉炭素を持たないため、L型・D型の区別がありません。