α-アミラーゼの性質は、臨床検査技師国家試験では必ず押さえておきたいポイントの1です。

特に、

  • α-1,4結合とα-1,6結合のどちらに作用する?
  • エンド型とエキソ型のどちら?
  • Cl⁻とCa²⁺は何に関係する?
  • P型とS型ではどちらの分子量が大きい?

といった点を押さえておく必要があります。

これらは、一つずつ別々に覚える必要はありません。

まず、

α-アミラーゼは、多糖類の内部にあるα-1,4-グリコシド結合を切断するエンド型の酵素

と押さえたうえで、Cl⁻、Ca²⁺、P型・S型の特徴を理解しくのがポイントです。

国試問題|第68回 臨床検査技師国家試験 午後 問題35

アミラーゼについて誤っているのはどれか。

1.α1,4-グリコシド結合を分解する。
2.活性化にはクロールイオンが必要である。
3.カルシウムイオンを含有する酵素である。
4.膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい。
5.日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法では共役酵素を用いる。

 

正答は、

4

です。

この問題では、

  • α-1,4-グリコシド結合
  • Cl⁻
  • Ca²⁺
  • P型とS型
  • 共役酵素

というα-アミラーゼの基本的な性質がまとめて問われています。

以下に、順番に解説していきます。

α-アミラーゼはエンド型でα-1,4結合を切断する

α-アミラーゼは、デンプンやグリコーゲンなどの多糖類を分解する加水分解酵素です。

重要なのは、

多糖類の内部にあるα-1,4-グリコシド結合を切断する

という点です。

糖鎖の内部から結合を切断するため、

α-アミラーゼ=エンド型酵素

と整理します。

一方、糖鎖の末端から順に作用する酵素をエキソ型酵素といいます。

また、デンプンやグリコーゲンの枝分かれ部分にある、

α-1,6-グリコシド結合には作用しません。

したがって、国試では、

エンド型 → α-1,4結合を切断

をセットで押さえておくとよいでしょう。

Cl⁻とCa²⁺は役割が違う

α-アミラーゼでは、Cl⁻とCa²⁺がどちらも出てくるため、混同しやすいところです。

役割を分けて整理しておきましょう。

Cl⁻はα-アミラーゼの活性化に関与する

ヒトのα-アミラーゼにはCl⁻が結合する部位があり、Cl⁻は酵素活性に関与します。

そのため、国試では、

Cl⁻ → α-アミラーゼの活性化に関与

と押さえます。

第68回の、

活性化にはクロールイオンが必要である。

は正しい記述です。

ただし、

Cl⁻そのものがα-アミラーゼの活性中心を構成している

という意味ではありません。

Cl⁻について詳しく確認したい場合は、「クロールについて正しいのはどれか?|血中Cl⁻・嘔吐・アニオンギャップを解説【国試対策】」も参考にしてください。

クロールについて正しいのはどれか?|血中Cl⁻・嘔吐・アニオンギャップを解説【国試対策】クロール(塩化物イオン、Cl⁻)は、細胞外液に最も多く存在する主要な陰イオンです。 第66回臨床検査技師国家試験では、「クロールについ...

Ca²⁺はα-アミラーゼに結合する

α-アミラーゼにはCa²⁺が結合する部位があり、Ca²⁺は酵素の構造や活性を保つうえで重要です。

したがって、第68回の、

カルシウムイオンを含有する酵素である。

は正しい記述です。

Cl⁻とCa²⁺は、

  • Cl⁻ → 活性化に関与
  • Ca²⁺ → α-アミラーゼに結合し、構造・活性に重要

と分けておくと混乱しにくくなります。

P型とS型ではS型の方が分子量が大きい

ヒトのアミラーゼには、主に、

  • P型:膵型
  • S型:唾液腺型

があります。

今回の問題で重要なのは、分子量の大小です。

国家試験では、

S型 > P型

と整理します。

したがって、

膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい。

は誤りです。

P型・S型については、分子量だけでなく、由来する臓器や疾患との関係も出題されます。

詳しく確認したい場合は、「アミラーゼアイソザイムで正しいのはどれか」も参考にしてください。

第66回 臨床検査技師国試 生化学(酵素) 過去問-11
【過去問】アミラーゼアイソザイムで正しいのはどれか。第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午後 問題32 1. S型は尿に排泄されない。 2. 急性膵炎ではS型が上昇する...

JSCC勧告法では共役酵素を用いる

第68回では、

日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法では共役酵素を用いる。

という選択肢も出ています。

これは正しい記述です。

共役酵素とは、

目的とする酵素の反応を、測定しやすい別の酵素反応につなぐために利用する酵素

です。

α-アミラーゼ活性の測定でも、共役酵素を利用して測定可能な変化につなげます。

ここでは測定反応を細かく覚える必要はありません。

共役酵素を使う酵素・使わない酵素については、「共役酵素とは?|JSCC勧告法で使う・使わない酵素を国試問題で解説」にて解説していますので、そちらを確認してください。

共役酵素とは?|JSCC勧告法で使う・使わない酵素を国試問題で解説"共役酵素" 名前は聞いたことがあっても、 「ASTは使う?」 「CKは?」 「LDは使わない?」 と聞かれると、...

第68回の問題に戻ってみよう

ここまで整理すると、第68回の1・2・3・5は正しいと判断できます。

誤っているのは、

4.膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい。

です。

分子量はS型 > P型なので、正答は4となります。

ここまで理解できたら、少し聞き方を変えた第71回の問題も解いてみましょう。

国試問題|第71回 臨床検査技師国家試験 午後 問題31

α-アミラーゼで正しいのはどれか。

1.エキソ型酵素である。
2.主に肝臓で代謝される。
3.活性中心に Zn2+を有する。
4.α-1,6-グリコシド結合に作用する。
5.唾液腺型は膵型より分子量が大きい。

 

正答は、

5

です。

第68回で整理した内容を使いながら、選択肢を確認してみましょう。

1.エキソ型酵素である。

誤りです。

α-アミラーゼは、多糖類の内部にあるα-1,4-グリコシド結合を切断するエンド型酵素です。

2.主に肝臓で代謝される。

誤りです。

血中のアミラーゼの一部は腎糸球体で濾過され、尿中に排泄されます。

したがって、

「主に肝臓で代謝される」

という記述は誤りです。

3.活性中心に Zn2+を有する。

誤りです。

α-アミラーゼで押さえておきたい金属イオンはCa²⁺です。

Zn²⁺ではありません。

4.α-1,6-グリコシド結合に作用する。

誤りです。

α-アミラーゼが切断するのは、

α-1,4-グリコシド結合

です。

枝分かれ部分にあるα-1,6-グリコシド結合には作用しません。

5.唾液腺型は膵型より分子量が大きい。

正しいです。

先ほど確認したように、

S型 > P型

です。

したがって、正答は、

5

となります。

国試で押さえるα-アミラーゼの特徴

今回の2問で問われた内容を最後に整理します。

項目 α-アミラーゼの特徴
作用様式 エンド型
切断する結合 α-1,4-グリコシド結合
α-1,6結合 作用しない
Cl⁻ 活性化に関与
Ca²⁺ α-アミラーゼに結合し、構造・活性に重要
分子量 S型 > P型
JSCC勧告法 共役酵素を用いる

特に、

エンド型 → α-1,4結合

と、

Cl⁻ → 活性化、Ca²⁺ → 酵素に結合

をセットで整理しておくと、選択肢を判断しやすくなります。

P型・S型と疾患との関係については別の記事で整理し、この記事ではα-アミラーゼそのものの基本的な特徴を確実にしておきましょう。

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