β-2,1グリコシド結合をもつのはどれか?|イヌリンと代表的な糖質の結合を解説【国試対策】
β-2,1グリコシド結合を持つ代表的な分子は、イヌリンです。
イヌリンはフルクトースを主成分とする多糖で、フルクトース残基が主にβ-(2→1)グリコシド結合によって連なっています。
国家試験では、グリコーゲンやアガロースなど、代表的な多糖の結合様式と比較して覚えておくと判断しやすくなります。
| 選択肢 | 代表的なグリコシド結合 |
|---|---|
| イヌリン | β-(2→1) |
| ヘパリン | 1→4 |
| アガロース | β-(1→4)、α-(1→3) |
| グリコーゲン | α-(1→4)、α-(1→6) |
| コンドロイチン硫酸 | β-(1→3)、β-(1→4) |
国試ではまず、
イヌリン=β-(2→1)結合
と覚えておきましょう。
Contents
第66回 臨床検査技師国家試験
第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午前 問題30
β-2,1 グリコシド結合をもつのはどれか。
1.イヌリン
2.ヘパリン
3.アガロース
4.グリコーゲン
5.コンドロイチン硫酸
正答
1.イヌリン
です。
イヌリンでは、フルクトース残基が主にβ-(2→1)グリコシド結合で連なっています。
β-(2→1)グリコシド結合とは?
グリコシド結合の表記では、
α・β
と
数字
を分けて考えると理解しやすくなります。
αまたはβは、グリコシド結合に関与するアノマー炭素の立体配置を表します。
一方、
1→4、1→6、2→1
などの数字は、どの炭素原子どうしが結合しているかを示します。
グルコースではアノマー炭素はC1ですが、フルクトースではC2です。
イヌリンでは、あるフルクトース残基のC2と、次のフルクトース残基のC1が結合しているため、
β-(2→1)グリコシド結合
と表されます。
つまり、
フルクトースのC2 → 次のフルクトースのC1
と考えるとわかりやすくなります。
β-2,1とβ-1,2は同じ?
検索では「β-1,2グリコシド結合」と表記されることがありますが、イヌリンのフルクトース残基間の結合を表す場合は、β-(2→1)とするのが明確です。
これは、フルクトースのアノマー炭素がC2だからです。
なお、スクロースではグルコースのC1とフルクトースのC2が、それぞれのアノマー炭素を介して結合しています。
そのためスクロースは通常、
α(1↔2)β結合
などと表されます。
イヌリンのβ-(2→1)結合とは区別しておきましょう。
各選択肢を解説
1.イヌリン
正しいです。
イヌリン(inulin)は、フルクトースを主成分とするフルクタンの一種です。
フルクトース残基が主に、
β-(2→1)グリコシド結合
によって直鎖状に連なっています。
植物由来のイヌリンでは、末端にグルコースを含むものも多くみられます。
したがって国試では、細かな鎖長を暗記するのではなく、
イヌリン=フルクトースを主成分とするフルクタン
イヌリン=β-(2→1)結合
を押さえておくことが重要です。
ヒトの小腸には、このβ-(2→1)結合を効率よく分解する消化酵素がないため、イヌリンは消化・吸収されにくい水溶性食物繊維として扱われます。
また、外因性に投与したイヌリンは糸球体で濾過され、尿細管でほとんど再吸収・分泌されないため、イヌリンクリアランスは糸球体濾過量(GFR)の評価に用いられます。
国試では、
イヌリン=β-(2→1)結合
と
イヌリン=GFR
を合わせて覚えておくと効率的です。
2.ヘパリン
誤りです。
ヘパリンはグリコサミノグリカン(GAG)の一種です。
主として、
- ウロン酸
- グルコサミン
からなる二糖単位が繰り返される直鎖状の多糖です。
これらの糖は主に1→4グリコシド結合によって連なっています。
また、多くの硫酸基をもつため、強い負電荷をもつことも特徴です。
したがって、
ヘパリン=β-(2→1)結合
ではありません。
国試ではまず、
ヘパリン=硫酸化されたグリコサミノグリカン
と整理しておきましょう。
3.アガロース
誤りです。
アガロースは寒天の主要成分の一つで、
- D-ガラクトース
- 3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース
からなる二糖単位が繰り返される多糖です。
主鎖では、
β-(1→4)結合
と
α-(1→3)結合
が交互に現れます。
したがって、β-(2→1)結合ではありません。
アガロースはゲルを形成しやすく、DNAなどを分離するアガロースゲル電気泳動にも利用されます。
国試では、
アガロース=β-(1→4)+α-(1→3)
と整理しておきましょう。
4.グリコーゲン
誤りです。
グリコーゲンは、多数のグルコースが結合した分岐構造をもつ貯蔵多糖です。
結合様式は、
- 直鎖部分:α-(1→4)グリコシド結合
- 分岐部分:α-(1→6)グリコシド結合
です。
したがって、
グリコーゲン=α-(1→4)+α-(1→6)
と覚えます。
イヌリンとは構成糖も結合様式も異なります。
グリコーゲンの分解や血糖調節については、血糖調節機構の組合せで誤っているのはどれかでも解説しています。
5.コンドロイチン硫酸
誤りです。
コンドロイチン硫酸も、ヘパリンと同じくグリコサミノグリカン(GAG)の一種です。
基本となる二糖単位は、
- グルクロン酸
- N-アセチルガラクトサミン
から構成されます。
これらが、
β-(1→3)結合
と
β-(1→4)結合
によって交互に連なっています。
したがって、
コンドロイチン硫酸=β-(1→3)+β-(1→4)
と整理しておきましょう。
国試で覚えたい代表的なグリコシド結合
国家試験では、イヌリンだけでなく、デンプン、グリコーゲン、セルロースなどの結合様式もよく問われます。
代表的なものをまとめると、次のようになります。
| 糖質 | 主なグリコシド結合 | ポイント |
|---|---|---|
| イヌリン | β-(2→1) | フルクトースを主成分とする |
| アミロース | α-(1→4) | デンプンの直鎖成分 |
| アミロペクチン | α-(1→4)、α-(1→6) | デンプンの分枝成分 |
| グリコーゲン | α-(1→4)、α-(1→6) | 動物の貯蔵多糖 |
| セルロース | β-(1→4) | グルコースの直鎖状多糖 |
| アガロース | β-(1→4)、α-(1→3) | 電気泳動に利用 |
| コンドロイチン硫酸 | β-(1→3)、β-(1→4) | グリコサミノグリカン |
| ヘパリン | 主に1→4 | 高度に硫酸化されたGAG |
国試では特に、
α-(1→4) → デンプン・グリコーゲンの直鎖部分
α-(1→6) → 分岐
β-(1→4) → セルロース
β-(2→1) → イヌリン
という対応を優先して覚えておくと、多くの問題に対応できます。
国試で覚えるポイント
この問題では、次の5点を押さえておきましょう。
- イヌリン=フルクトースを主成分とするフルクタン
- イヌリン=β-(2→1)グリコシド結合
- フルクトースのアノマー炭素はC2
- グリコーゲン=α-(1→4)+α-(1→6)
- セルロース=β-(1→4)
特に、
フルクトースのアノマー炭素はC2
と理解しておくと、なぜイヌリンがβ-(2→1)結合なのかを丸暗記せずに理解できます。
まとめ
「β-2,1グリコシド結合をもつのはどれか」という問題の正答は、イヌリンです。
イヌリンはフルクトースを主成分とするフルクタンで、フルクトース残基が主にβ-(2→1)グリコシド結合で連なっています。
国試では、グリコーゲンのα-(1→4)・α-(1→6)結合や、セルロースのβ-(1→4)結合と比較して整理しておきましょう。
