脂質・脂質代謝

【過去問】レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ反応の生成物はどれか。2つ選べ。

第66回 臨床検査技師国試 生化学(脂質・脂質代謝) 過去問-6

第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午前 問題41

1. 遊離脂肪酸
2. リゾレシチン
3. トリグリセライド
4. スフィンゴミエリン
5. エステル型コレステロール

 

 

Contents

正答

2: リゾレシチン

5: エステル型コレステロール

以上が正しい。

 

解説

LCATとは

レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は肝臓でのみ合成される酵素であり、血中ではHDLに局在する。

 

LCATの機能

LCATの働きは、ホスファチジルコリン(レシチン)が有する2つの脂肪酸のうち、β位の脂肪酸(アシル基)を遊離型コレステロールに転移することである。

すなわち、

  • レシチン         → リゾレシチン(脂肪酸が1つ減少したリゾ体)
  • 遊離型コレステロール → エステル型コレステロール

へと変換される。

補因子としてアポリポタンパク質A-Iが必要となる。

リゾレシチンとは

リゾホスファチジルコリンとも呼ばれる。

レシチンはグリセロールの3つのOH基に脂肪酸が2つ、リン酸が1つ結合したホスファチジン酸にコリンが結合したグリセロリン脂質であるが、そのうちの脂肪酸が1つ外れたものがリゾレシチンである。

 

LCATの生理的な役割

HDLは血中のコレステロールを肝臓へと戻すことが主たる役割となるが、HDLは亜分画され、HDL2HDL3に分けられる。

血中で末梢細胞の細胞膜から遊離型コレステロールを受け取るのはHDL3であり、LCATの作用によりコレステロールをエステル化し、疎水性の強いHDLのコア部分で保持することでHDL2へと変化する。

HDL2は、そのまま肝臓に取り込まれる、または、コレステロールだけがコレステロールエステル転送タンパク質(CETP)によりVLDLやIDL、LDLの中性脂肪と交換される。