第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午前 問題34
1. インスリンーーーーー解糖系促進
2. 肝臓ーーーーーーーーグリコーゲン合成
3. グルカゴンーーーーーグリコーゲン分解抑制
4. 脂肪組織ーーーーーートリグリセライド合成
5. 腎臓ーーーーーーーー糖新生
正解及び解説は下記参照。
Contents
正答
3: グルカゴンーグリコーゲン分解抑制
以上が正しい。
解説
インスリンと糖代謝との関係
インスリンは、グルコキナーゼやヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼといった解糖系の律速酵素の発現誘導または活性化を引き起こす。
そのため、解糖系は促進されることになる。
インスリンは解糖系を促進すると共に細胞内へのグルコースの取り込み、グリコーゲンの合成、中性脂肪の合成、タンパク質の合成を促進する。
その一方で、糖新生を抑制する。
肝臓におけるグリコーゲン代謝
グリコーゲンの合成は主として肝臓と骨格筋で生じており、インスリンにより促進される。
肝臓では臓器重量の約5%程度(約100g)、骨格筋では臓器重量の約1%程度(約300g)のグリコーゲンを貯蔵する。
グルカゴンとグリコーゲン代謝
グルカゴンは受容体に結合することでアデニル酸シクラーゼを活性化し、さらにプロテインキナーゼAの活性化を通して、グリコーゲンの合成を抑制すると共に分解を促進する。
グルカゴンによるグリコーゲン分解促進は肝臓では生じるが、骨格筋にはグルカゴン受容体が存在しないため、骨格筋は影響を受けない。
脂肪組織におけるトリグリセリド代謝
脂肪組織では、中性脂肪(トリグリセリド)が合成される。
インスリンが作用することにより解糖系が亢進し、アセチルCoAとNADPHの産生が増加するため、結果的に中性脂肪合成が促進される。
腎臓における糖新生
糖新生は、激しい運動や絶食などによりグルコースが不足することによって生じ、グルカゴンにより促進される。
糖新生が生じる臓器は肝臓と腎臓であり、90%が肝臓、10%が腎臓で行われている。