第65回 臨床検査技師国家試験(2019年実施) 午後 問題30
1.レシチン
2.セファリン
3.リゾレシチン
4.スフィンゴミエリン
5.ホスファチジルセリン
Contents
正答
4: スフィンゴミエリン
以上が正解。
解説
グリセロリン脂質とは、基本骨格としてホスファチジン酸を有する両親媒性のリン脂質である。
ホスファチジン酸 = グリセロール + 脂肪酸(アシル基)x2 + リン酸
具体的には、ホスファチジン酸の構造の要となるグリセロールは分子内に3つの水酸基を有しており、
- 1位にパルミチン酸やステアリン酸のような飽和脂肪酸
- 2位にオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸
- 3位にリン酸
これらが結合した状態でホスファチジン酸は存在する。
グリセロリン脂質においては、このホスファチジン酸のリン酸にコリンなど様々なアルコールがエステル結合しており、リン酸に結合するアルコールの種類の違いが各グリセロリン脂質の種類の違いを決定づけていると言える。
レシチン
ホスファチジルコリンの別名である。
ホスファチジン酸のリン酸にコリンが結合した分子であり、生体内でも最も多いリン脂質である。
細胞膜の主要構成成分であり、脂質二重層の外側(細胞膜の外側)に多量に存在する。
セファリン
ホスファチジルエタノールアミンの別名である。
ホスファチジン酸のリン酸にエタノールアミンが結合した分子であり、グリセロリン脂質の中では二番目に多い。
細胞膜の構成成分であり、脂質二重層の内側(細胞膜の内側)に多量に存在する。
リゾレシチン
リゾ体とは脂肪酸(アシル基)が1つ外れた分子であり、リゾレシチンはホスファチジルコリンからアシル基が1つ外れたものである。
ホスファチジン酸の2位のアシル基が外れた分子は容易に産生されるため、通常リゾレシチンは2位のアシル基が外れ、1位にアシル基を有する物を指す。
リゾレシチンを産生する酵素としては、
- ホスホリパーゼA1: ホスファチジルコリンの1位のアシル基を加水分解する
- ホスホリパーゼA2: ホスファチジルコリンの1位のアシル基を加水分解する
が代表的である。
スフィンゴミエリン
セラミドを基本骨格に有するスフィンゴリン脂質に分類され、セラミドを含む脂質の中では最も量が多い。
スフィンゴミエリン = セラミド + リン酸 + コリン
であり、ホスファチジルコリンと構造上類似している。
また、細胞膜の構成成分の1つであり、分布に関してもホスファチジルコリンと同じく脂質二重層の外側(細胞膜の外側)に存在する。
- セラミド = スフィンゴシン + 脂肪酸(アシル基)
- スフィンゴシン = パルミチン酸 + セリン
ホスファチジルセリン
グリセロリン脂質の一種であり、ホスファチジン酸のリン酸にアミノ酸であるセリンが結合した分子である。
細胞膜の構成成分であり、ホスファチジルエタノールアミン同様に脂質二重層の内側(細胞膜の内側)に多量に存在する。