ビタミン

【過去問】アミノトランスフェラーゼのホロ化に必要なのはどれか

第66回 臨床検査技師国試 生化学(酵素) 過去問-13

第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午後 問題37

1. コバラミン
2. ピリドキシン
3. リボフラビン
4. トコフェロール
5. ニコチンアミド

 

 

正答

2:ピリドキシン

以上が正しい。

 

解説

アミノトランスフェラーゼはアミノ基を転移する酵素であり、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)やアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が一般的な検査項目として測定されている。

酵素の分類としてホロ酵素とアポ酵素があり、

  • ホロ酵素:酵素タンパク質+補因子 = 酵素活性有り
  • アポ酵素:酵素タンパク質のみ = 酵素活性無し

となる。

アミノトランスフェラーゼの場合、補因子としてビタミンB6(ピリドキシン)が必要であり、活性化型ビタミンB6(ピリドキサールリン酸)と結合することでホロ化する。

コバラミンの特徴

ビタミンB12であり、金属イオンであるコバルトを分子内に含む。

生体内ではメチルコバラミンアデノシルコバラミンに変換され、それぞれメチオニン合成酵素(5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインメチルトランスフェラーゼ)とメチルマロニルCoAムターゼの補因子として機能する。

 

ピリドキシンの特徴

ビタミンB6であり、活性化型のピリドキサールリン酸は上述のアミノトランスフェラーゼの補因子として機能するだけでなく、グルタミン酸からGABAを合成するグルタミン酸デカルボキシラーゼなどのアミノ酸脱炭酸酵素の補酵素としても機能する。

 

リボフラビンの特徴

ビタミンB2であり、リン酸やアデノシンと縮合することでフラビンモノヌクレオチド(FMN)フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)として生体に存在する。

酸化還元反応を触媒する酵素の補因子として機能しており、リボフラビンを含む酵素をフラビン酵素と呼ぶ。

FADやFMNは酵素と強固に結合している補欠分子族である。

 

トコフェロールの特徴

ビタミンEであり、抗酸化作用を有する脂溶性ビタミンである。

トコフェロールは分子内に二重結合を持たない。α-トコフェロールが最も多く存在し、生理活性作用も強い。

ミトコンドリアの電子伝達系などで産生されるフリーラジカルを補足することで不飽和脂肪酸の過酸化を抑制するなど、細胞内の酸化を抑制する。

 

ニコチンアミドの特徴

ニコチン酸のアミドであり、ニコチン酸と共にナイアシンと総称される。

生体内ではニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)として存在しており、様々な脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)の補酵素として酸化還元反応を触媒する。