細胞の構造と働き

【過去問】蛋白質合成の場として重要なのはどれか。

第66回 臨床検査技師国試 生化学(細胞の基本構造) 過去問-8

第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午前 問題42

1. Golgi装置
2. 滑面小胞体
3. リボソーム
4. ミトコンドリア
5. ペルオキシソーム

 

正答

3: リボソーム

が正しい。

 

解説

Golgi装置(ゴルジ体)の機能

糖鎖の修飾(除去や付加)や金属イオンの付加、輸送するタンパク質の選別など多様なタンパク質の修飾が行われる。

滑面小胞体の機能

滑面小胞体はリボソームの結合していない小胞体であり、タンパク質の合成には関与しない。

主たる働きは、コレステロールや中性脂肪、ステロイドホルモンの合成であり、カルシウムイオンの貯蔵なども担う。

リボソームの機能

タンパク質の合成は、リボソームによって行われる。

リボソームは

  • 細胞質に局在する遊離型リボソーム
  • 粗面小胞体と結合している結合型リボソーム

の2種類が細胞内に存在する。

これらのリボソームは合成するタンパク質に違いがあり、

  • 遊離型リボソームでは、細胞内タンパク質
  • 粗面小胞体に結合したリボソームでは、細胞外へ分泌されるタンパク質や膜に局在するタンパク質

の合成が行われる。

粗面小胞体で合成されるタンパク質は、N末端(アミノ末端)に疎水性に富んだシグナルペプチドを有しており、このペプチドが粗面小胞体での合成を決定づけ、分泌タンパク質や幕タンパク質の場合、開始コドンであるメチオニンもここに含まれる。

粗面小胞体で合成されるタンパク質は、シグナルペプチドは粗面小胞体膜上に存在するシグナルペプチダーゼにより切断されるため、粗面小胞体内に合成されたタンパク質には存在しない。

粗面小胞体内では、小胞体シャペロンによるタンパク質のフォールディングが行われ、タンパク質内のアスパラギンの側鎖に14個の糖からなる糖鎖が付加される(N型糖鎖)。

正しくフォールディングしたタンパク質はゴルジ体へと輸送される(ゴルジ体のシス面からトランス面に向かって運ばれる)。

ミトコンドリアの機能

ミトコンドリアは、真核細胞のエネルギー産生の中心的な細胞内小器官であり、クエン酸回路や電子伝達系、脂肪酸のβ酸化などを担う。

これに加えて、細胞内のカルシウムを一時的に貯蔵することでカルシウム濃度の緩衝作用も担う。

ペルオキシソームの機能

ペルオキシソームでは、極長鎖脂肪酸のβ酸化(炭素数22個以上)やプリン塩基やアミノ酸の分解、胆汁酸の合成などが行われている。

これらを触媒する酵素としてアシルCoAオキシダーゼやアミノ酸オキシダーゼといった各種オキシダーゼ群がペルオキシソームには存在しており、反応過程で過酸化水素が産生されている。

また、その過酸化水素を分解するカタラーゼもペルオキシソームには存在している。