第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午前 問題31
1. 尿酸-------ウリカーゼ
2. 尿素-------ウレアーゼ
3. クレアチンーーーークレアチンキナーゼ(CK)
4. グルタミン酸ーーーグルタミン酸デヒドロゲナーゼ
5. アスパラギン酸ーーアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)
正解及び解説は下記参照。
Contents
正答
2: 尿素-ウレアーゼ
4: グルタミン酸-グルタミン酸デヒドロゲナーゼ
以上が正しい選択肢である。
解説
尿酸とウリカーゼの関係
ヒトやトリ等においては尿酸がプリン塩基の最終代謝産物として排泄されるが、その他の多くの動物では尿酸はウリカーゼによりさらに分解される。
具体的な反応は下記の通り。
尿酸 + 2H2O + O2 → アラントイン + H2O2 + CO2
尿酸と尿素は字面が似ているため同時に選択肢に上がることが多いので、両者の違いをしっかり押さえておくことが重要。
尿素とウレアーゼの関係
ヒトにおいては、タンパク質のアミノ基(窒素)を代謝する過程で有毒なアンモニアから安全な代謝産物として尿素は合成される。
ウレアーゼは尿素をアンモニアと二酸化炭素へと分解する酵素であり、下記の反応を触媒する。
(NH2)2CO + H2O → CO2 + 2NH3
ヘリコバクターピロリは同酵素を用いてアンモニアを産生することでヒトの胃酸環境下でも存在可能である。
クレアチンとクレアチンキナーゼの関係
クレアチンはアミノ酸であるアルギニンとグリシンから合成されており、リン酸化されたクレアチンリン酸は高エネルギー化合物として貯蔵されている。
クレアチンキナーゼはクレアチンをリン酸化する酵素であり、その反応にアンモニアは介在しない。
グルタミン酸とグルタミン酸デヒドロゲナーゼの関係
アミノ酸の代謝においてアミノ基はαケトグルタル酸へと転移され、グルタミン酸が産生される。
グルタミン酸はミトコンドリアへと移動し、グルタミン酸デヒドロゲナーゼによる酸化的脱アミノ反応を受け、αケトグルタル酸に戻される際にアンモニアが生じる。
グルタミン酸デヒドロゲナーゼは下記の反応を触媒するが、その際、補酵素としてNAD+を用いる。
グルタミン酸 → αケトグルタル酸 + NH3
アスパラギン酸とASTの関係
ASTはアミノ基転移反応を触媒する。
アスパラギン酸のアミノ基をαケトグルタル酸に転移し、グルタミン酸へと変換する。その際、アスパラギン酸はαケト酸であるオキサロ酢酸へと変化する。
ASTの触媒する反応は下記の通り。
アスパラギン酸 + αケトグルタル酸 ←→ オキサロ酢酸 + グルタミン酸