第34回 管理栄養士国家試験(2020年実施)午前 問題19
1. 核酸は、ペプチドに分解される。
2. ヌクレオチドは、構成糖として六炭糖を含む。
3. シトシンは、プリン塩基である。
4. アデニンの最終代謝産物は、尿酸である。
5. 尿酸の排泄は、アルコールの摂取により促進される。
Contents
正答
4: アデニンの最終代謝産物は、尿酸である。
以上が正しい。
解説
核酸の分解過程
核酸(ヌクレオチド)の構成成分は、塩基、五炭糖、リン酸である。
核酸が分解される際には、
①リン酸の分離 → ヌクレオチドからヌクレオシドへ
②五炭糖の分離 → ヌクレオシドから塩基へ
という順に進み、
残った塩基については、塩基の種類別に分解が生じる。
塩基の分類
プリン骨格を持つ塩基をプリン塩基と呼び、アデニンとグアニンが分類される。
ピリミジン骨格を持つ塩基をピリミジン塩基と呼び、シトシン、チミン、ウラシルがこれに分類される。
塩基の代謝産物
プリン塩基の分解
アデニンやグアニンといったプリン塩基は、代謝の過程でキサンチンへと変化し、キサンチンオキシダーゼにより尿酸へと代謝される。
ヒトやトリの場合は尿酸が最終産物として排泄されるが、その他の多くの動物ではウリカーゼによりさらに代謝され、アラントインへと変化し排泄される。
ピリミジン塩基の分解
シトシン・ウラシルの場合はβアラニン、チミンの場合はβアミノイソ酪酸を経て最終的にCO2とNH3へと分解される。
ヌクレオチドの構成糖
ヌクレオチドの構成糖は、五炭糖であるリボースまたはデオキシリボースである。
ヌクレオチドの五炭糖はペントースリン酸回路から供給されており、リボヌクレオチドの形で合成される。
その後、リボースの2位がリボヌクレオチドレダクターゼにより還元されることによりデオキシリボースとなる。
また、この反応にはチオレドキシンとチオレドキシンレダクターゼが必要となる。
尿酸の排泄とアルコールの関係
アルコールは肝臓において、アルコールデヒドロゲナーゼ (ADH)やミクロソームエタノール酸化系(MEOS)などにより、アセトアルデヒドへ代謝され、その後、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)により酢酸へと変化する。
酢酸はさらにアセチルCoAリガーゼによりATPを用いてアセチルCoAへと代謝され、クエン酸回路にて水とCO2へと分解される。
アルコールが酢酸へと代謝される過程ではNAD+が多量に消費され、同様にNAD+を必要とする解糖系などの代謝回路は大きな影響を受けることになる。
ピルビン酸からアセチルCoAを合成する過程においてNAD+は必要であり、アセチルCoAへ変換されなかったピルビン酸は乳酸の増加を促す。
尿酸は腎臓での排泄過程において再吸収と分泌による濃度調整を受けており、血中の尿酸は100%糸球体でろ過されているが、そのうち約90%が再吸収されている。
近位尿細管に発現しているトランスポーターであるURAT1がこの尿酸の再吸収において重要な役割を担っており、血清尿酸値の制御機構として知られる。
URAT1はアニオンの交換輸送体であり、乳酸はその交換基質となる。
すなわち、アルコールは乳酸の増加を促すことで腎臓での尿酸の再吸収を促進するため結果的に尿酸排泄を抑制することになる。