第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施) 午後 問題41
1. 尿酸
2. 尿素
3. アンモニア
4. ビリルビン
5. クレアチニン
Contents
正答
5: クレアチニン
以上が正しい。
解説
尿酸の窒素の数
人体におけるプリン塩基の最終代謝産物である尿酸の化学式はC5H4N4O3となる。
プリン骨格自体には窒素が4つ含まれており、アデニンやグアニンは窒素を5つ有する。
尿素の窒素の数
アミノ基の代謝産物として産生される尿素のCO(NH2)2となる。
グルタミン酸由来のNとアスパラギン酸由来のNの合計2つの窒素から構成される。
アンモニアの窒素の数
生体内では、主として下記のような酵素が触媒するアミノ酸の代謝過程で産生される。
グルタミナーゼ:グルタミン + H2O → グルタミン + NH4+
グルタミンデヒドロゲナーゼ:グルタミン酸 → αケトグルタル酸 + NH4+
含まれる窒素は1つである。
ビリルビンの窒素の数
ヘモグロビンの構成分子であるヘムが代謝されて産生されるビリルビンの化学式はC33H36N4O6となる。
ビリルビンは、ヘモグロビンのポルフィリン環に由来するピロール環(五員環構造を持つ芳香族アミン; C4H5N)を4つ有する。
すなわち、ビリルビンに含まれる窒素は4つである。
クレアチニンの窒素の数
クレアチンリン酸の代謝産物であるクレアチニンの化学式はC4H7N3Oとなる。
後述するが、クレアチニン産生に関与するクレアチンリン酸、クレアチン、グアニジノ酢酸のいずれも窒素は3つである。
クレアチンの合成経路
クレアチンの合成は腎臓と肝臓で行われる。
< 腎臓 >
反応:アルギニン + グリシン → グアニジノ酢酸 + オルニチン
触媒する酵素:グリシンアミジノトランスフェラーゼ
アルギニンのアミジノ基(-C(=NH)-NH2)がグリシンに転移され、グアニジノ酢酸が合成される。
< 肝臓 >
反応:グアニジノ酢酸 + S-アデノシルメチオニン → クレアチン + S-アデニル-ホモシステイン
触媒する酵素:グアニジノ酢酸-N-メチルトランスフェラーゼ
S-アデノシルメチオニンがグアニジノ酢酸へのメチル基の供与体として働き、クレアチンが産生される。
クレアチンリン酸の合成経路
反応:クレアチン + ATP → クレアチンリン酸 + ADP
触媒する酵素:クレアチンキナーゼ
クレアチンはリン酸化されることで、高エネルギー化合物であるクレアチンリン酸として機能し、筋肉などを中心に消費される。