第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施) 午後 問題33
1. オステオカルシン(OC)
2. 骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
3. 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAcP-5b)
4. デオキシピリジノリン(DPD)
5. プロコラーゲン・ペプチド
Contents
正答
3: 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ
4: デオキシピリジノリン
以上の2つが正しい。
解説
骨は常に破壊と再生が繰り返されており、骨代謝を評価するマーカーとして、骨吸収マーカーと骨形成マーカーが存在する。
< 骨形成マーカー >
- 骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
- I型プロコラーゲン-N-ペプチド(P1NP)
- I型プロコラーゲン-C-ペプチド(P1CP)
- オステオカルシン(OC)
< 骨吸収マーカー >
- 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRACP-5b)
- デオキシピリジノリン(DPD)
- I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)
- I型コラーゲン架橋C-テロペプチド(CTX)
- I型コラーゲンC-テロペプチド(ICTP)
オステオカルシン(OC)とは
骨基質におけるカルシウム結合タンパク質であり、非コラーゲン性タンパク質で最も存在量が多い。
骨芽細胞で合成されており、ビタミンK依存性γカルボキシラーゼにより分子内のグルタミン酸残基がカルボキシル化されることで骨基質の石灰化を調節する。
骨型アルカリホスファターゼ(BAP)とは
アルカリホスファターゼは細胞膜上に存在する酵素であり、リン酸のエステル結合を加水分解する。
その名称の通り、至適pHはアルカリ性である。
様々な組織に存在しており6つのアイソザイムに分類されるが、骨型アルカリホスファターゼはALP3である。
酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ (TRACP-5b)
破骨細胞にのみ存在する酵素であり、TRACP-5bは酸性ホスファターゼアイソザイム5である。
破骨細胞の数を反映しており、骨吸収によって血中に放出されるため、有用な骨吸収マーカーである。
デオキシピリジノリン(DPD)
骨基質においてI型コラーゲンの分子間架橋をしている物質であり、コラーゲンが分解される際に放出されることから骨吸収マーカーとして機能する。
プロコラーゲン・ペプチド
I型プロコラーゲンはI型コラーゲンの前駆体であり、N末端とC末端のプロコラーゲンペプチドが切断されて生じる。
P1NP
N末端由来のペプチドであり、分子量は約35000である。
単量体と3量体が存在する。
P1CP
C末端由来のペプチドであり、分子量は約100000である。
分子の中に糖鎖を含む。
P1CPの産生量はI型コラーゲンの産生量と等量である。