第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午後 問題39
1. セリン
2. プロリン
3. スレオニン
4. メチオニン
5. アスパラギン酸
Contents
正答
1:セリン
3:スレオニン
以上の2つが正しい。
解説
タンパク質を構成するαアミノ酸は、カルボキシル基が結合しているα炭素にアミノ基を有しており、アミノ酸間の違いは基本的に側鎖の違いと言える。
水酸基を側鎖に持つアミノ酸としては、セリン、スレオニン、チロシンの3つが挙げられる。
セリンの特徴
水酸基を有する中性の親水性(極性)アミノ酸の1つであり、3-ホスホグリセリン酸からまたはグリシンとメチレンテトラヒドロ葉酸から合成される非必須アミノ酸である。
糖原性アミノ酸に分類される。
特定のタンパク質加水分解酵素(セリンプロテアーゼ)の活性中心に含まれており、触媒残基として機能する(求核攻撃を担う)。
また、リン酸化を受けることで生体内のシグナル伝達を担うアミノ酸の1つでもある。
プロリンの特徴
アミノ基(-NH2)ではなく、イミノ基(=NH)とカルボキシル基を分子内に有する。
そのため、正確にはアミノ酸ではなく、イミノ酸である。
生体内で合成可能な非必須アミノ酸であり、糖原性アミノ酸に分類される。
スレオニンの特徴
トレオニンとも呼ばれる。
セリンと同様に水酸基を有する中性の親水性(極性)アミノ酸であり、体内で合成することのできない必須アミノ酸の1つでもある。
スレオニンは、ケト原性アミノ酸かつ糖原性アミノ酸に分類される。
プロテインAやプロテインCといったセリン・スレオニンキナーゼによりリン酸化されることで生体内の情報伝達に寄与する。
<必須アミノ酸>
- トリプトファン
- ロイシン
- リジン
- バリン
- スレオニン
- フェニルアラニン
- メチオニン
- イソロイシン
- ヒスチジン
ヒスチジンは準必須アミノ酸
生体内に合成経路が存在するため本来は必須アミノ酸ではないが、小児期では不足しがちなため必須アミノ酸に含まれている。
メチオニンの特徴
分子内に硫黄を含む必須アミノ酸であり、同じく硫黄を含むシステインはメチオニンから合成される。
糖原性アミノ酸に分類される。
人体においては誘導体であるS-アデノシルメチオニンがメチル基の供与体としてメチル化反応を介在する。
アスパラギン酸の特徴
側鎖にもカルボキシル基を酸性アミノ酸の1つである。
糖原性アミノ酸に分類される。
非必須アミノ酸であり、グルタミン酸からアミノ基がオキサロ酢酸に転移されることで合成される。