Lineweaver-Burkプロットの読み方|Km・Vmax・阻害様式をわかりやすく解説
酵素反応速度論では、ミカエリス・メンテン式に加えて、Lineweaver-Burk(ラインウィーバー・バーク)プロットが問われることがあります。
Lineweaver-Burkプロットは、ミカエリス・メンテン式を逆数にして直線として表したグラフです。
国家試験では、グラフを細かく作図する力よりも、縦軸切片・横軸切片・傾きが何を意味するかを読み取れることが重要です。
特に押さえたいのは、縦軸切片が1/Vmax、横軸切片が-1/Kmを表す点です。
また、競合阻害や非競合阻害ではKmやVmaxが変化するため、Lineweaver-Burkプロットの見え方も変わります。
このページでは、Lineweaver-Burkプロットの読み方を、Km・Vmax・阻害様式とあわせて解説していきます。
Contents
- 1 まず見るべき場所:縦軸切片・横軸切片・傾き
- 2 このページで確認すること
- 3 Lineweaver-Burkプロットとは
- 4 Lineweaver-Burkプロットの原理|なぜ直線になる?
- 5 Vmaxの読み取り方
- 6 Kmの読み取り方
- 7 傾きの意味
- 8 Lineweaver-Burkプロットの基本
- 9 競合阻害ではLineweaver-Burkプロットはどう変化するか
- 10 非競合阻害ではLineweaver-Burkプロットはどう変化するか
- 11 阻害様式とLineweaver-Burkプロットの比較
- 12 国試での覚え方
- 13 よくあるひっかけ
- 14 試験で問われやすいポイント
- 15 確認問題
- 16 まとめ
- 17 関連記事
まず見るべき場所:縦軸切片・横軸切片・傾き
Lineweaver-Burkプロットで見るべき場所は、主に次の3つです。

Lineweaver-Burkプロットでは、縦軸切片が1/Vmax、横軸切片が-1/Km、傾きがKm/Vmaxを表します。Kmは横軸切片から Km = -1/(横軸切片) として読み取ります。
| 見る場所 | 意味 |
|---|---|
| 縦軸切片 | 1/Vmax |
| 横軸切片 | -1/Km |
| 傾き | Km/Vmax |
国家試験では、まずこの3つを確実に覚えておきましょう。
- 縦軸切片 = 1/Vmax
- 横軸切片 = -1/Km
- 傾き = Km/Vmax
ひっかけになりやすいのは、縦軸切片がVmaxそのものではなく1/Vmaxであること、横軸切片が1/Kmではなく-1/Kmであることです。
このページで確認すること
このページでは、次の内容を扱います。
- Lineweaver-Burkプロットの縦軸と横軸の意味
- 縦軸切片からVmaxを読む方法
- 横軸切片からKmを読む方法
- 競合阻害・非競合阻害でグラフがどう変化するか
Lineweaver-Burkプロットは、見た目だけで覚えると混乱しやすいです。
一方で、縦軸切片・横軸切片・傾きの意味がわかると、かなり見通しがよくなります。
Lineweaver-Burkプロットとは
Lineweaver-Burkプロットとは、ミカエリス・メンテン式を逆数に変換し、酵素反応速度を直線として表す方法です。
ミカエリス・メンテン式は、次の式で表されます。
v = Vmax × [S] / (Km + [S])
この式では、反応速度vと基質濃度[S]の関係は曲線になります。
Lineweaver-Burkプロットでは、反応速度と基質濃度をそのまま使うのではなく、それぞれの逆数を使います。
- 縦軸:1/v
- 横軸:1/[S]
そのため、Lineweaver-Burkプロットは両逆数プロットとも呼ばれます。
Lineweaver-Burkプロットの原理|なぜ直線になる?
ミカエリス・メンテン式は、
v = Vmax × [S] / (Km + [S])
です。
この式の逆数をとると、
1/v = (Km + [S]) / (Vmax × [S])
となります。
さらに変形すると、
1/v = (Km/Vmax) × 1/[S] + 1/Vmax
となります。
これは、直線の式
y = ax + b
と同じ形です。
Lineweaver-Burkプロットでは、次のように対応します。
| 直線の式 | Lineweaver-Burkプロット |
|---|---|
| y | 1/v |
| x | 1/[S] |
| 傾き a | Km/Vmax |
| 切片 b | 1/Vmax |
この対応関係を押さえると、グラフからKmやVmaxを読み取りやすくなります。
Vmaxの読み取り方
Lineweaver-Burkプロットでは、縦軸切片が1/Vmaxを表します。
したがって、縦軸切片がわかれば、そこからVmaxを求めることができます。
注意したいのは、縦軸切片がVmaxそのものではないという点です。
縦軸切片は1/Vmaxです。
そのため、縦軸切片が大きくなるということは、1/Vmaxが大きくなるということです。
1/Vmaxが大きくなる場合、Vmaxそのものは小さくなります。
つまり、
縦軸切片が上がる = 1/Vmaxが大きくなる = Vmaxは低下する
と読み取ります。
Kmの読み取り方
Lineweaver-Burkプロットでは、横軸切片が-1/Kmを表します。
ここで注意したいのは、横軸切片が1/Kmではなく、-1/Kmである点です。
国家試験でも、この符号はひっかけになりやすい部分です。
図で示したように、Lineweaver-BurkプロットではKmそのものが横軸上に直接示されるわけではありません。
横軸切片が-1/Kmなので、Kmは次のように読み取ります。
Km = -1 / 横軸切片
Kmが大きくなると、1/Kmは小さくなります。
したがって、-1/Kmは0に近づきます。
そのため、競合阻害などでKmが大きくなると、横軸切片は原点側へ移動します。
傾きの意味
Lineweaver-Burkプロットの傾きは、
Km/Vmax
を表します。
Kmが大きくなる、またはVmaxが小さくなると、傾きは大きくなります。
阻害物質が存在すると、KmやVmaxが変化するため、Lineweaver-Burkプロットの傾きも変わります。
国家試験では、傾きそのものを細かく計算するよりも、KmとVmaxの変化からグラフの変化を判断することが大切です。
Lineweaver-Burkプロットの基本
ここまでの内容をまとめると、次のようになります。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 縦軸 | 1/v |
| 横軸 | 1/[S] |
| 縦軸切片 | 1/Vmax |
| 横軸切片 | -1/Km |
| 傾き | Km/Vmax |
この表は、Lineweaver-Burkプロットを読むときの基本になります。
競合阻害ではLineweaver-Burkプロットはどう変化するか
競合阻害では、阻害物質が基質と酵素の活性部位を取り合います。
そのため、見かけ上のKmは上昇します。
一方で、基質濃度を十分に高くすれば阻害の影響を打ち消せるため、Vmaxは変化しません。
つまり、競合阻害では、
Km上昇、Vmax不変
となります。
Lineweaver-Burkプロットでは、Vmaxが不変なので、縦軸切片である1/Vmaxは変化しません。
一方、Kmは上昇するため、横軸切片である-1/Kmは変化します。
国家試験では、
競合阻害では、縦軸切片が同じ
と覚えると判断しやすくなります。
非競合阻害ではLineweaver-Burkプロットはどう変化するか
非競合阻害では、阻害物質が酵素の活性部位以外に結合し、酵素活性を低下させます。
そのため、Vmaxは低下します。
一方で、基質と酵素の結合しやすさは基本的に変化しないため、Kmは不変と考えます。
つまり、非競合阻害では、
Km不変、Vmax低下
となります。
Lineweaver-Burkプロットでは、Vmaxが低下すると、1/Vmaxは大きくなります。
そのため、縦軸切片は上昇します。
一方、Kmは基本的に不変なので、横軸切片である-1/Kmは大きく変化しません。
国家試験では、
非競合阻害では、縦軸切片が上がる
と押さえておきましょう。
阻害様式とLineweaver-Burkプロットの比較
阻害様式の違いは、KmとVmaxの変化としてグラフ上に現れます。
競合阻害では横軸切片の変化、非競合阻害では縦軸切片の変化に注目します。

| 阻害様式 | Km | Vmax | 縦軸切片 | 横軸切片 |
|---|---|---|---|---|
| 阻害なし | 基準 | 基準 | 1/Vmax | -1/Km |
| 競合阻害 | 上昇 | 不変 | 不変 | 原点側へ移動 |
| 非競合阻害 | 基本的に不変 | 低下 | 上昇 | 基本的に不変 |
競合阻害と非競合阻害を区別するときは、特に縦軸切片に注目するとわかりやすくなります。
なお、不競合阻害ではKmとVmaxが同じ割合で低下するため、Lineweaver–Burkプロットは平行線になります。詳しい理由はこちら。
グラフの読み方が分かったら、次は実際の問題で使えるか確認してみましょう。
演習では、直線式からKm・Vmaxを求める問題や、切片の変化から阻害様式を判断する問題も扱っています。
発展:Lineweaver–Burkプロットと阻害定数Ki
Lineweaver–Burkプロットは、阻害様式の判別だけでなく、阻害定数Kiの推定にも利用できます。
例えば競合阻害では、阻害剤濃度[I]が高くなるほど直線の傾きが大きくなり、その変化は 1+[I]/Ki に依存します。そのため、複数の阻害剤濃度でLineweaver–Burkプロットを作成し、傾きと[I]の関係を解析することでKiを求めることができます。
一般に、Kiが小さいほど阻害剤が酵素に強く結合することを示します。
なお、実際の酵素反応速度解析では、誤差の影響を受けやすい両逆数プロットよりも、非線形回帰によってKiなどのパラメータを推定する方法が用いられることも多くあります。
国試での覚え方
縦軸切片は1/Vmax
縦軸切片はVmaxそのものではなく、1/Vmaxです。
Vmaxが低下すると、1/Vmaxは大きくなります。
そのため、縦軸切片は上がります。
横軸切片は-1/Km
横軸切片は1/Kmではなく、-1/Kmです。
マイナスがつく点に注意しましょう。
競合阻害では縦軸切片が同じ
競合阻害ではVmaxが変化しないため、1/Vmaxも変化しません。
したがって、縦軸切片は同じです。
非競合阻害では縦軸切片が上がる
非競合阻害ではVmaxが低下します。
そのため、1/Vmaxは大きくなり、縦軸切片が上がります。
よくあるひっかけ
縦軸切片をVmaxそのものと考えてしまう
Lineweaver-Burkプロットの縦軸切片は、Vmaxそのものではありません。
縦軸切片は1/Vmaxです。
そのため、縦軸切片が大きくなると、Vmaxは小さくなります。
横軸切片を1/Kmと考えてしまう
横軸切片は1/Kmではなく、-1/Kmです。
符号がマイナスである点に注意しましょう。
Kmが横軸に直接示されていると考えてしまう
Lineweaver-Burkプロットでは、横軸切片はKmそのものではありません。
横軸切片は-1/Kmです。
したがって、Kmを読み取るときは、横軸切片からKm = -1 / 横軸切片として考えます。
競合阻害でVmaxが低下すると考えてしまう
競合阻害では、基質を十分に増やせば阻害の影響を打ち消せます。
そのため、Vmaxは不変です。
Lineweaver-Burkプロットでは、縦軸切片が同じになります。
非競合阻害でKmが上昇すると考えてしまう
非競合阻害では、阻害物質は基質と活性部位を取り合うわけではありません。
そのため、Kmは基本的に不変と考えます。
Lineweaver-Burkプロットでは、横軸切片は大きく変化せず、縦軸切片が上昇します。
試験で問われやすいポイント
Lineweaver-Burkプロットに関する問題では、次の内容がよく問われます。
- 縦軸が1/vであること
- 横軸が1/[S]であること
- 縦軸切片が1/Vmaxであること
- 横軸切片が-1/Kmであること
- 傾きがKm/Vmaxであること
- 競合阻害ではVmaxが不変であること
- 非競合阻害ではVmaxが低下すること
特に、縦軸切片はVmaxではなく1/Vmax、横軸切片は-1/Kmという点はひっかけになりやすいので注意しましょう。
確認問題
最後に、同じテーマの確認問題です。
確認問題1
Lineweaver-Burkプロットにおいて、縦軸切片が表すものはどれか。
- Vmax
- 1/Vmax
- Km
- -1/Km
正答は、
2. 1/Vmax
です。
Lineweaver-Burkプロットでは、縦軸切片が1/Vmaxを表します。
確認問題2
Lineweaver-Burkプロットにおいて、横軸切片が表すものはどれか。
- Km
- 1/Km
- -1/Km
- Vmax/Km
正答は、
3. -1/Km
です。
横軸切片は、1/Kmではなく-1/Kmです。
確認問題3
競合阻害で変化しないものはどれか。
- Km
- Vmax
- 横軸切片
- 傾き
正答は、
2. Vmax
です。
競合阻害では、Kmは上昇しますが、Vmaxは不変です。
確認問題4
非競合阻害で低下するものはどれか。
- Km
- Vmax
- 基質濃度
- 横軸切片のみ
正答は、
2. Vmax
です。
非競合阻害では、酵素活性そのものが低下するため、Vmaxが低下します。
まとめ
Lineweaver-Burkプロットは、ミカエリス・メンテン式を逆数にして直線化したグラフです。
押さえるべき点は次の通りです。
- 縦軸は1/vである
- 横軸は1/[S]である
- 縦軸切片は1/Vmaxである
- 横軸切片は-1/Kmである
- Kmは横軸切片から Km = -1 / 横軸切片 として読み取る
- 傾きはKm/Vmaxである
- 競合阻害ではKm上昇、Vmax不変である
- 非競合阻害ではKm不変、Vmax低下である
国家試験では、グラフを細かく作図するよりも、切片が何を表すか、阻害様式でKmとVmaxがどう変化するかを読めることが重要です。
特に、次の4点は確実に押さえておきましょう。
- 縦軸切片 = 1/Vmax
- 横軸切片 = -1/Km
- 競合阻害では縦軸切片が同じ
- 非競合阻害では縦軸切片が上がる
Lineweaver–Burkを「読める」から「解ける」へ
縦軸切片=1/Vmax、横軸切片=−1/Km、傾き=Km/Vmaxを整理できたら、次は実際の数値で使えるか確認してみましょう。
下記の問題集では、
- 直線式からKm・Vmaxを求める問題
- 切片の変化から阻害様式を判断する問題
- 平行な直線から不競合阻害を判断する問題
などを収録しており、グラフ問題の練習ができます。
