酵素反応速度論では、ミカエリス・メンテン式だけでなく、Lineweaver-Burkプロットが問われることがあります。
Lineweaver-Burkプロットは、ミカエリス・メンテン式を逆数にして直線化したグラフです。
国家試験では、グラフを細かく作図するというより、縦軸切片・横軸切片・傾きが何を表すかを理解していることが重要です。
特に、Lineweaver-Burkプロットでは、縦軸切片が1/Vmax、横軸切片が-1/Kmを表します。
また、競合阻害や非競合阻害では、KmやVmaxが変化するため、Lineweaver-Burkプロットの形も変化します。
この記事では、Lineweaver-Burkプロットの基本的な読み方から、Km・Vmaxの読み取り方、競合阻害・非競合阻害での変化まで、国家試験向けに整理します。
Contents
先に結論:Lineweaver-Burkプロットで見るべき場所
Lineweaver-Burkプロットで重要なのは、次の3点です。

| 見る場所 | 意味 |
|---|---|
| 縦軸切片 | 1/Vmax |
| 横軸切片 | -1/Km |
| 傾き | Km/Vmax |
国家試験では、まず次の関係を押さえておきましょう。
- 縦軸切片 = 1/Vmax
- 横軸切片 = -1/Km
- 傾き = Km/Vmax
特に、縦軸切片はVmaxそのものではなく1/Vmaxであり、横軸切片は1/Kmではなく-1/Kmである点がひっかけになりやすいです。
このテーマで身につけたいこと
この記事で身につけたいポイントは、次の4つです。
- Lineweaver-Burkプロットの縦軸と横軸の意味
- 縦軸切片からVmaxを読む方法
- 横軸切片からKmを読む方法
- 競合阻害・非競合阻害でグラフがどう変化するか
Lineweaver-Burkプロットは、見た目だけで覚えると混乱しやすいですが、縦軸切片・横軸切片・傾きの意味を押さえると整理しやすくなります。
Lineweaver-Burkプロットとは
Lineweaver-Burkプロットとは、ミカエリス・メンテン式を逆数に変換して、酵素反応速度を直線として表す方法です。
ミカエリス・メンテン式は、次の式で表されます。
v = Vmax × [S] / (Km + [S])
この式では、反応速度vと基質濃度[S]の関係は曲線になります。
一方、Lineweaver-Burkプロットでは、反応速度と基質濃度をそのまま使うのではなく、それぞれの逆数を使います。
- 縦軸:1/v
- 横軸:1/[S]
このように、逆数を使ってプロットするため、Lineweaver-Burkプロットは両逆数プロットとも呼ばれます。
ミカエリス・メンテン式との関係
ミカエリス・メンテン式は、
v = Vmax × [S] / (Km + [S])
です。
この式の逆数をとると、
1/v = (Km + [S]) / (Vmax × [S])
となります。
さらに整理すると、
1/v = (Km/Vmax) × 1/[S] + 1/Vmax
となります。
これは、直線の式
y = ax + b
と同じ形です。
つまり、Lineweaver-Burkプロットでは、次のように対応します。
| 直線の式 | Lineweaver-Burkプロット |
|---|---|
| y | 1/v |
| x | 1/[S] |
| 傾き a | Km/Vmax |
| 切片 b | 1/Vmax |
この対応関係がわかると、グラフからKmやVmaxを読み取りやすくなります。
Vmaxの読み取り方
Lineweaver-Burkプロットでは、縦軸切片が1/Vmaxを表します。
したがって、縦軸切片がわかれば、そこからVmaxを読み取ることができます。
注意したいのは、縦軸切片はVmaxそのものではなく、1/Vmaxであるという点です。
そのため、縦軸切片が大きくなる場合、1/Vmaxが大きくなっていることを意味します。
1/Vmaxが大きくなるということは、Vmaxそのものは小さくなります。
つまり、
縦軸切片が上がる = 1/Vmaxが大きくなる = Vmaxは低下する
と考えます。
Kmの読み取り方
Lineweaver-Burkプロットでは、横軸切片が-1/Kmを表します。
ここで注意したいのは、横軸切片が1/Kmではなく、-1/Kmであるという点です。
国家試験では、この符号を混同しやすいので注意しましょう。
図で示したように、Lineweaver-BurkプロットではKmそのものが横軸上に直接示されるわけではありません。
横軸切片が-1/Kmであるため、Kmは、
Km = -1 / 横軸切片
として読み取ります。
Kmが大きくなると、1/Kmは小さくなります。
したがって、-1/Kmは0に近づきます。
つまり、競合阻害などでKmが大きくなると、横軸切片は原点側に近づきます。
傾きの意味
Lineweaver-Burkプロットの傾きは、
Km/Vmax
を表します。
そのため、Kmが大きくなる、またはVmaxが小さくなると、傾きは大きくなります。
阻害物質が存在すると、KmやVmaxが変化するため、Lineweaver-Burkプロットの傾きも変化します。
国家試験では、傾きそのものを細かく計算するよりも、KmとVmaxがどう変化するかからグラフの変化を判断できるようにしておきましょう。
Lineweaver-Burkプロットの基本まとめ
ここまでの内容を表で整理します。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 縦軸 | 1/v |
| 横軸 | 1/[S] |
| 縦軸切片 | 1/Vmax |
| 横軸切片 | -1/Km |
| 傾き | Km/Vmax |
この表は、Lineweaver-Burkプロットの読み取りで最も重要です。
競合阻害ではLineweaver-Burkプロットはどう変化するか
競合阻害では、阻害物質が基質と酵素の活性部位を取り合います。
そのため、見かけ上のKmは上昇します。
一方で、基質濃度を十分に高くすれば阻害の影響を打ち消せるため、Vmaxは変化しません。
つまり、競合阻害では、
Km上昇、Vmax不変
となります。
Lineweaver-Burkプロットでは、Vmaxが不変なので、縦軸切片である1/Vmaxは変化しません。
一方、Kmは上昇するため、横軸切片である-1/Kmは変化します。
国家試験では、
競合阻害では、縦軸切片が同じ
と覚えると整理しやすいです。
非競合阻害ではLineweaver-Burkプロットはどう変化するか
非競合阻害では、阻害物質が酵素の活性部位以外に結合し、酵素活性を低下させます。
そのため、Vmaxは低下します。
一方で、基質と酵素の結合しやすさは基本的に変化しないため、Kmは不変と考えます。
つまり、非競合阻害では、
Km不変、Vmax低下
となります。
Lineweaver-Burkプロットでは、Vmaxが低下すると、1/Vmaxは大きくなります。
そのため、縦軸切片は上昇します。
一方、Kmは基本的に不変なので、横軸切片である-1/Kmは大きく変化しません。
国家試験では、
非競合阻害では、縦軸切片が上がる
と覚えると整理しやすいです。
阻害様式とLineweaver-Burkプロットの比較
阻害様式による違いは、KmとVmaxの変化としてグラフ上に現れます。
特に、競合阻害では横軸切片の変化、非競合阻害では縦軸切片の変化に注目すると整理しやすくなります。

| 阻害様式 | Km | Vmax | 縦軸切片 | 横軸切片 |
|---|---|---|---|---|
| 阻害なし | 基準 | 基準 | 1/Vmax | -1/Km |
| 競合阻害 | 上昇 | 不変 | 不変 | 原点側へ移動 |
| 非競合阻害 | 基本的に不変 | 低下 | 上昇 | 基本的に不変 |
この表では、特に縦軸切片に注目すると、競合阻害と非競合阻害を区別しやすくなります。
次に確認したい関連テーマ
Lineweaver-Burkプロットが理解できたら、Kmの定義や阻害様式もあわせて確認しておきましょう。
国試での覚え方
Lineweaver-Burkプロットは、次のように覚えると整理しやすくなります。
縦軸切片は1/Vmax
縦軸切片はVmaxそのものではなく、1/Vmaxです。
そのため、Vmaxが低下すると、1/Vmaxは大きくなり、縦軸切片は上がります。
横軸切片は-1/Km
横軸切片は1/Kmではなく、-1/Kmです。
マイナスがつく点に注意しましょう。
競合阻害では縦軸切片が同じ
競合阻害ではVmaxが変化しないため、1/Vmaxも変化しません。
したがって、縦軸切片は同じです。
非競合阻害では縦軸切片が上がる
非競合阻害ではVmaxが低下します。
そのため、1/Vmaxは大きくなり、縦軸切片が上がります。
よくあるひっかけ
縦軸切片をVmaxそのものと考えてしまう
Lineweaver-Burkプロットの縦軸切片は、Vmaxそのものではありません。
縦軸切片は1/Vmaxです。
そのため、縦軸切片が大きくなると、Vmaxは小さくなります。
横軸切片を1/Kmと考えてしまう
横軸切片は1/Kmではなく、-1/Kmです。
符号がマイナスである点に注意しましょう。
Kmが横軸に直接示されていると考えてしまう
Lineweaver-Burkプロットでは、横軸切片はKmそのものではありません。
横軸切片は-1/Kmです。
したがって、Kmを読み取るときは、横軸切片からKm = -1 / 横軸切片として考えます。
競合阻害でVmaxが低下すると考えてしまう
競合阻害では、基質を十分に増やせば阻害の影響を打ち消せます。
そのため、Vmaxは不変です。
Lineweaver-Burkプロットでは、縦軸切片が同じになります。
非競合阻害でKmが上昇すると考えてしまう
非競合阻害では、阻害物質は基質と活性部位を取り合うわけではありません。
そのため、Kmは基本的に不変と考えます。
Lineweaver-Burkプロットでは、横軸切片は大きく変化せず、縦軸切片が上昇します。
試験で問われやすいポイント
Lineweaver-Burkプロットに関する問題では、次の内容がよく問われます。
- 縦軸が1/vであること
- 横軸が1/[S]であること
- 縦軸切片が1/Vmaxであること
- 横軸切片が-1/Kmであること
- 傾きがKm/Vmaxであること
- 競合阻害ではVmaxが不変であること
- 非競合阻害ではVmaxが低下すること
特に、縦軸切片はVmaxではなく1/Vmax、横軸切片は-1/Kmという点はひっかけになりやすいので注意しましょう。
確認問題
最後に、同じテーマの確認問題です。
確認問題1
Lineweaver-Burkプロットにおいて、縦軸切片が表すものはどれか。
- Vmax
- 1/Vmax
- Km
- -1/Km
正答は、
2. 1/Vmax
です。
Lineweaver-Burkプロットでは、縦軸切片が1/Vmaxを表します。
確認問題2
Lineweaver-Burkプロットにおいて、横軸切片が表すものはどれか。
- Km
- 1/Km
- -1/Km
- Vmax/Km
正答は、
3. -1/Km
です。
横軸切片は、1/Kmではなく-1/Kmです。
確認問題3
競合阻害で変化しないものはどれか。
- Km
- Vmax
- 横軸切片
- 傾き
正答は、
2. Vmax
です。
競合阻害では、Kmは上昇しますが、Vmaxは不変です。
確認問題4
非競合阻害で低下するものはどれか。
- Km
- Vmax
- 基質濃度
- 横軸切片のみ
正答は、
2. Vmax
です。
非競合阻害では、酵素活性そのものが低下するため、Vmaxが低下します。
まとめ
Lineweaver-Burkプロットは、ミカエリス・メンテン式を逆数にして直線化したグラフです。
ポイントは次の通りです。
- 縦軸は1/vである
- 横軸は1/[S]である
- 縦軸切片は1/Vmaxである
- 横軸切片は-1/Kmである
- Kmは横軸切片から Km = -1 / 横軸切片 として読み取る
- 傾きはKm/Vmaxである
- 競合阻害ではKm上昇、Vmax不変である
- 非競合阻害ではKm不変、Vmax低下である
国家試験では、グラフを細かく作図するよりも、切片が何を表すか、阻害様式でKmとVmaxがどう変化するかを理解しておくことが重要です。
特に、次の4点は確実に押さえておきましょう。
- 縦軸切片 = 1/Vmax
- 横軸切片 = -1/Km
- 競合阻害では縦軸切片が同じ
- 非競合阻害では縦軸切片が上がる
