第34回 管理栄養士国家試験(2020年実施)午前 問題18
1. 人のたんぱく質を構成するアミノ酸は、主にD型である。
2. アルギニンは、分枝アミノ酸である。
3. チロシンは、側鎖に水酸基をもつ。
4. グルコースの分子量は、ガラクトースの分子量と異なる。
5. グリコーゲンは、β-1, 4 グリコシド結合をもつ。
Contents
正答
3: チロシンは、側鎖に水酸基をもつ。
以上が正しい。
解説
人体のタンパク質を構成するアミノ酸の特徴
アミノ酸とは
アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基を有する炭素化合物を指す。
カルボキシル基が結合している炭素をα炭素と呼び、そのα炭素にアミノ基が結合しているアミノ酸をαアミノ酸と呼ぶ。
αアミノ酸のα炭素は結合する4つの原子団がそれぞれ異なる不斉炭素であるため、鏡像異性体(D型とL型)が存在する。
(ただし、側鎖が-Hであるグリシンを除く)
アミノ酸の異性体
人体のタンパク質を構成するアミノ酸は基本的にL型のアミノ酸である。
D型は老化に伴い眼の水晶体や脳などに出現することが知られる。
また、近年、遊離型のD-アミノ酸が脳や精巣などで生理的な機能を持つことが明らかになってきている。
アルギニンと分岐アミノ酸の特徴
アルギニンの特徴
アルギニンは塩基性アミノ酸であり、側鎖にグアニジノ基を有する。
分岐アミノ酸の特徴
分岐アミノ酸(BCAA; branched-chain amino acid)は、バリン、ロイシン、イソロイシンの総称であり、各アミノ酸は分岐構造を持つ脂肪族の側鎖を有する。
いずれも必須アミノ酸である。
チロシンの特徴
チロシンは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼにより必須アミノ酸であるフェニルアラニンから合成される非必須アミノ酸である。
チロシンとフェニルアラニンの違いは、分子内に-OH基を持つか否かである。
フェニルアラニンの側鎖はフェニル基(ベンゼン環)、チロシンはそこに-OHが付加されフェノールになっている。
チロシン同様に-OH基を有するアミノ酸としてはセリンやスレオニンが存在する。
グルコースとガラクトースの違い
グルコースとガラクトースはエピマーと呼ばれれる立体異性体の関係である。
分子式上では同じ(どちらもC6H12O6)であるが、立体構造が異なる(4位のOH基の向きが異なる)。
違いは立体構造のみであるため、グルコースとガラクトースの分子量は同じである。
グリコーゲンの特徴
グリコーゲンは、グルコースのみで構成され、α-1,4グリコシド結合に加えてα-1,6グリコシド結合を有するアミロペクチン様構造を持つ単純多糖である。
β-1,4グリコシド結合を有する代表例はセルロースが挙げられる。