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第66回 臨床検査技師国家試験(2020年実施)午後 問題32
1. S型は尿に排泄されない。
2. 急性膵炎ではS型が上昇する。
3. P型はS型よりも分子量が大きい。
4. 流行性耳下腺炎ではP型が上昇する。
5. 腎不全ではP型、S型ともに上昇する。
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Contents
正答
5: 腎不全では P 型、S 型ともに上昇する。
以上が正しい。
解説
アミラーゼとは
アミラーゼは、デンプンやグリコーゲンなどに含まれるα1.4グリコシド結合を加水分解し、マルトースやグルコースへの変換を触媒するエンドグリコシダーゼである。
- エンドグリコシダーゼ:多糖類のグリコシド結合をランダムに切断する酵素
- エキソグリコシダーゼ:多糖類の末端から順にグリコシド結合を切断する酵素
アミラーゼのアイソザイムの特徴
P型とS型の二種類が存在する。
- P型(Pancreatic; 膵型):膵臓でのみ発現しており、膵炎などの膵疾患で上昇する。
- S型(Salivary; 唾液腺型):唾液腺を中心に、肺や卵巣などでも発現しており、P型と異なり分子内に糖鎖を有する点を特徴とする。耳下腺炎やアミラーゼ産生腫瘍などで上昇する。
P型、S型ともに血中に移行したアミラーゼは尿中へと排泄されていくため、どちらのアイソザイムも血清や尿に存在する。
血清と尿におけるそれぞれの存在比としては、
P型 | S型 | |
血清 | 約40% | 約60% |
尿 | 約60% | 約40% |
となる。
急性膵炎などにより血清アミラーゼ活性が上昇している期間は短い(1-2日程度)が、尿中のアミラーゼ活性は比較的期間が長いことが特徴的である。
アミラーゼの分子量は、
- P型:約54000
- S型:約56000(糖鎖を持たない), 65000(糖鎖を有する)
であり、S型は糖鎖を含む状態と含まない状態の酵素が存在する。
腎不全では尿へのアミラーゼの移行が停滞するため、血清アミラーゼが増加する。
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